うつ病の正体

1.うつ病とはどのような病気か?

うつ病とは、ストレスを受け続けた結果、多くの脳細胞が深刻なダメージを受ける、または、そのダメージにより死滅した結果、体の方でこれ以上深刻な状況が進まないよう自己防衛機能(脳細胞を無理に使わせない)が働いている状態です。

つまり、生き延びるために無意識が意識に反抗し、これ以上、脳細胞を破壊させないのです。下の図の左の独裁者が意識、右の反乱軍が無意識で脳の中で内戦が勃発している状態です。これでは脳はまともに機能できません。

また、脳の中心部に位置し記憶を司る海馬という部位に明確な縮小が見られます。ストレスが脳細胞を破壊している証拠です。体の組織がダメージを受けている、または、破壊されている状態を一般的に炎症と呼びます。つまり、うつ病は脳炎の結果(後遺症)だったのです。

今までは内科的に脳内伝達物質が調子の悪い状態と捉えられていましたが、実際には外科的な病気だったのです。破壊された脳細胞は再生できません。脳細胞が獲得した記憶や機能を元に戻す事は不可能なのです。ただし、リハビリを続ければ、死滅した細胞の近隣の細胞達が、失われた脳細胞の役割を手助けすることが知られています。なので絶望しないで下さい。

また、海馬はストレスの無い状態であれば再生可能であることが知られています。なので正しくリハビリをすれば、認知症のように記憶障害が進行することはありません。脳も部位によっては再生可能なものと、そうではないものとがあるようです。

うつ病が治りにくい、かつ、再発しやすいのは、脳細胞が破壊されているためで、リハビリに時間が必要であることと、リハビリをしても完全に元の状態には戻れないからです。

 

2.ストレスが脳細胞を壊すメカニズム

まだ、メカニズムの解明はできたいませんが、有力な仮設が分かってきました。

(1)仮設1:神経細胞障害仮説

① 脳がストレスにさらされ続けると、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモン:ACHRを大量に分泌する。

② ACHRを受け取った副腎がストレス防御ホルモン:コルチゾールを分泌する。

③ コルチゾールが長期に分泌されると全身の細胞を痛めつけるため、脳下垂体がACHRを抑制する。しかし、ストレスにされされ続けると、この抑制機能が正常に働か無くなる。

④ その結果、全身の細胞がダメージを受け、心身の不調が現れる。特に脳細胞への被害が大きいので、うつ病を発症する。

(2)仮説2:神経可塑性仮説

① ② ③ は、同じ。

④ コルチゾールが減らなくなると、脳由来性神経栄養因士:BDNFが抑制される。BDNFは脳細胞のメンテナンスの役目に関わっているため、ダメージを受けた脳細胞を修復できなくなり、脳細胞が死滅し、うつ病を発症する。

 

また、ストレスにさらされ続けると、脳の扁桃体という器官は逆に肥大化することが分かっています。扁桃体は感情の処理と記憶が主要な役割です。ストレスは嫌という感情なので、それに過剰対応した結果と思われます。

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