1.うつ病診断の実情
現代の医学では、明確に診断する事はできません。
なぜなら、(1)何故うつ病になるのか正しいメカニズムが不明 (2)うつ病の症状に個人差が大きい、からです。うつ病が顕在化したのは、人類の歴史の中では割と最近であり、また、貧しい国ではあまり見られないのが特徴です。
皮肉にも人類全体が豊かになった結果、顕在化した病気なのです。そのため原因解明への研究の歴史が浅いのです。現在では、もっぱら医師との問診により、うつ病に関連する症状がどれくらい多く、どれくらいの期間、見受けられるかで判断されます。問診に頼っているので患者の主観による病状の訴えにばらつきが大きく、正確な判断ができにくいのが実態です。そもそも、うつ病の患者は重症化すればするほど認知、判断能力が極端に低下しするため、正確な病状すら伝えられない状態にあります。そのため家族同伴の患者も多いです。
患者や家族の自己申告で決めている状態なので、嘘をつけば、うつ病にしてもらう事も余裕で可能です。頭のよい人が、サボる常套手段でもあります。医者にとって嘘を見抜くのは至難の業です。この業界は患者が多く忙しいので、初診は丁寧に看ますが、その後は3分間問診で済ませることはざらです。
また、認知、判断能力が極度に低下しているため、自分がうつ病であることすら気づけない孤立した患者も多数存在します。そのため病院に行くことすらできず苦しんでいる患者も多いのです。
2.何故うつ病になるのか?
ほとんどがストレスが原因と言われています。希に先天的な要因や外傷などにより発症する事もありますが、ここでは省きます。
それでは、ストレスとは何でしょうか? 感情的に嫌いな状態、これがストレスです。なぜストレスを感じ取る必要があるのか? それは人間が生き延びるための本能です。我々が原始人だった頃、トラ等の捕食者に襲われた場合、瞬時に危険を判断し、体がストレスモードに切り替わり、逃げるために全力を発揮するのです。その機能が現代人にも引き継がれています。人間の脳の機能は20万年前から、ほとんど進化していません。
それでは現代社会において捕食者がいなくなったにもかかわらず、どうしてストレスを感じてしまうのでしょうか? これも原始人時代からの名残で、集団から孤立すると命の危機に直面したため、ストレスを感じるからです。
人間はアリやハチと同様に社会性を持つ動物であり、それを高度な知能と掛け合わせることで現代の大繁栄を築いてきたのです。現代におけるストレスは、人間関係によって発生するものです。集団の中で上手く生き抜くために、無理をするとストレスを感じてしまいます。そして、
ストレスの強さ × ストレスに耐える時間 > 個人のストレス耐性
となった時に、うつ病を発症すると言われています。
下の厚労省の図上段を見てください。1996年から2017年にかけて、うつ病の患者数が約3倍に増加しています。日本が生きずづらい国へと変化しているのが分かります。下段の図を見てください。30~50代をピークに高齢者の患者が多い事が分かります。これは、働き盛りの人にストレスが集中し、1度発症すると完治しにくい事を表しているのだと思われます。
3.うつ病の恐ろしさ
うつ病は心の風邪のようなものとよく言われますが、私に言わせれば風邪どころか数ヶ月間、体の自由がきかなくなる重病です。最悪、自身に幻滅し、自殺する事も多い恐ろしい病です。政府発表では年間3万人近くもの自殺者がいるとのことですが、自殺認定されない自殺者(飛び降り、列車への飛び込み、変死、等)を含めれば、その倍はいると言われ(死因の5位)、その多くがうつ病と認定されてもおかしくない精神状態に追い込まれているのです。
幸い私には自殺念慮がなかったですが、かかった人にしか分からない辛い病です。また、かかり始めで症状が軽いうちは、まだ体が動くので我慢をしてしまいがちで、状態を更に悪化させてしまう危険性があります。でも我慢し続けると、とんでもない症状にまで進行します。まるでバッテリー残量がわずかなスマホのような状態で(当然、モバイルバッテリーなどありません)、少し動いたら何もする気になりません。見た目は病人ではないので、周りからは厳しい目差しを浴びせられます。ひたすらバッテリーの充電が戻るのを待つしか無いのです。まるで自分の体でなくなった感じです。
4.何故うつ病は治りにくいのか? 再発するのか?
原因がはっきりせず、治療法が確立されていないのが最大の理由と考えます。
現在の治療法は気力が回復するまでの休養、自分の体質、症状に合った薬を見つけ出すまでの長い薬捜しの旅、運動する習慣、それと認知行動療法です。認知行動療法とは、物事をネガティブに考える癖を修正し、ストレスを感じにくくする訓練です。
私も20年近くうつ病の薬を飲み続けていますが、この治療方法が正しいとは思えません。復職した後もずっと薬を飲み続けなければならなかったし、薬が患者を作っているのでは?とすら疑っています。主治医は完治を目標にしおらず、社会復帰さえできればよい考えています。
社会復帰の時に産業医に命じられたのは、「あなたの真面目すぎが良くない。適度に抜きながら仕事をしなさい」でした。これまでの自分の仕事を否定された気分で、面白く無かったです。手抜き仕事をして定年まで会社にしがみつくのは惨めです。今の主治医には頼らず、何とか完治させたいと考えています。
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